パルダリウム水槽について
【完全解説】パルダリウム水槽の魅力、作り方から管理方法
パルダリウムとは、ガラスケースやアクリルのケースで苔や熱帯植物を鑑賞し楽しむ新しいグリーンスタイルです。
今まで生体中心のアクアリウムなどを楽しんでいた方からすると、生き物がいない植物中心のパルダリウムは本当に楽しいのかと疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
なぜなら、私もはじめてパルダリウムに出会った当初は、パルダリウムが流行る理由、そして魅力へも半信半疑だったからです。
しかし、実際にやってみたところ、このパルダリウムには想像もしていなかった魅力がたくさん詰まっていて、今ではすっかりパルダリウムの虜になりました。
私だけではなく、パルダリウムが置いてある場所には、本格的な水草水槽であるネイチャーアクアリウムや海水魚水槽もありますが、訪れた多くの方がパルダリウム水槽を食い入るように見ては、初めてこういう植物だけしかない水槽見たけど1番これが好きと仰っていただいております。
そこで、ここではそんな私や弊社へ来社した多くの方が虜となったパルダリウムの魅力から作り方、管理方法までじっくりお話ししていきたいとおもいます。
パルダリウム水槽とは何か
パルダリウム水槽とは、インドネシアやアマゾンなどの熱帯雨林を水槽内で再現したもので、原則アクアテラリウムのように水や熱帯魚などの生き物は入れずに、植物を楽しむ水槽となります。
テラリウム水槽やアクアテラリウム水槽、ビバリウムとの違いについて質問を受けることもあります。
テラリウムやアクアテラリウム、そしてビバリウムは、陸地と水辺を再現したレイアウトデザインとなり、両生類や爬虫類、または魚類などの生物も一緒に飼育されるケースがほとんどですが、パルダリウムはあくまで植物のみで楽しむことを指しています。
流木やコルク、岩、土を使用したレイアウトデザインのなかに、ベゴニアやブセファランドラ、シダ植物や苔など、美しい熱帯性植物たちで作られており、世界にはまだまだ見たことも聞いたこともない、非常に不思議で美しい植物がいるんだなとうっとりするものです。
パルダリウムは、ジャングルの奥地に行かなければ見ることのできない植物まで楽しむことのできる、非常に贅沢な趣味の1つとも言えるでしょう。
熱帯植物を海外で採取する人を、プラントハンターなどと呼ぶこともありますが、有名なプラントハンターが販売する植物はとても人気が高く、数万円以上する貴重で珍しい植物は、多くの植物マニアをワクワクさせておりますが、近年は増殖株とされる人の手で増やした植物も人気です。
オークションなどでも購入できますが、パルダリウムをはじめてチャレンジする方は、パルダリウムが置いてあり美しい状態でキープしている専門店へ相談の上、水槽や必要資材、そして植物を購入することをおすすめします。
パルダリウムとアクアリウムの違い
パルダリウムとアクアリウムは、水槽デザインも仕様も大きく異なります。
パルダリウムは、水槽に水を張らないデザイン、設計なのに対し、アクアリウムは水槽上部まで水を張りますし、水を張るための強度設計となってます。
また、アクアリウムは何といっても熱帯魚やメダカなどの魚類を遊泳させますが、パルダリウムでは原則熱帯魚などの生き物が泳ぎまわることはありません。
アクアリウムで水草がなかなか育たなかったという方は、ぜひパルダリウムで植物を育ててみてください。
美しい水草で作られた水槽ができなかった方でも、パルダリウムなら美しい緑の世界を比較的簡単に作ることができるはずです。
パルダリウム水槽の楽しみ方
パルダリウム水槽を楽しむポイントはたくさんありますが、まずはパルダリウムが置いてある専門店へ足を運ぶところからはじめてみましょう。
今やパルダリウムの人気は高まり、熱帯魚専門店や植物専門店、場所によってはホームセンターで展示されているものを見ることができるようになっています。
一言パルダリウムといっても、流木だけで構成されているもの、背面まで苔がびっしり育成されているもの、植物中心なデザインで作られているものと多種多様なデザインがあリます。
そこから、自分の気に入ったデザインを見つけてまずは真似するところからはじめていきましょう。
パルダリウムに必要な器具と素材
自分の気に入ったパルダリウムのデザインを見つけたら、そのデザインで作られた素材や器具を購入します。
もし、まだデザインがフワッとしている方は、パルダリウム用の水槽を購入する前に、お部屋のどこに設置しようか検討するところからはじめてみましょう。
パルダリウム水槽の選び方
パルダリウム水槽を選ぶ際に重要なことは、その水槽でパルダリウムを上手に管理している方がいるかどうかが鍵となります。
例えば、一般的な水槽だと水槽にフタがセットになっていないものや、フタが付属されていても隙間が大きく開いているものもあります。
パルダリウムは、密閉して湿度を保つこと、風を送る送風の工夫、時にはミストを発生させる必要も出てくるため、市販のアクアリウム水槽だと機能的に不十分な可能性が出てくることもあります。
水槽を選ぶポイントとして、パルダリウム専門店が販売しているパルダリウム専用ゲージ、DOOAのシステムパルダ、パルダリウムを上手に管理されている専門店がオーダーメイドで制作している水槽がおすすめです。
アクアレンタリウムでも、パルダリウム専用となる国産オーダーメイド水槽を制作しています。
お見積無料ですので、お気軽にご相談くださいませ。
パルダリウム水槽のレイアウト
パルダリウム水槽のレイアウトは独特です。
例えば、アクアリウムでは奥行きを意識して背面全てを埋めずに空間を設けることが多いなか、パルダリウムでは水槽背面や側面の壁に練り込んだ土を貼り付けるなどし、背面を土壁で完全に覆うレイアウトデザインが主流です。
ここでは、そんなパルダリウムを実際に制作した私のレイアウト事例とともに、ご説明していきます。
レイアウトの基本原則
パルダリウムのレイアウトにおける基本原則として、植物を元気に育成させるための専用の土を使用して制作していきます。
おすすめは、ピクタ社の極床 造形君 です。
初心者の方でも非常に使いやすく、1袋に十分な量が入っているのも満足な商品です。
ちなみに底床ですが、私が実際にやっている方法として、園芸用の軽石をした後にDOOAのジャングルソイルなどのパルダリウム用底床を敷いています。
水槽の仕様によっては底から排水する機能があるため、すべてソイルにすると綺麗に排水できず詰まってしまうこともあるため、軽石を敷いて排水をスムーズにしてあげることが重要だと感じています。
植物と流木、コルクの配置方法
底床と壁ができたら、次に流木や溶岩石、コルクなどのレイアウト素材を配置していきます。
この置き方も自由ですが、例えばアクアリウムのレイアウト構図のように凸型、凹型、三角構図を意識して素材を置いていくものおすすめです。
なお、素材をいていく際に、植物の種類もある程度決めていきましょう。
熱帯植物の種類によっては、生長すると縦に長くなる種、横に広がる種、強い光が苦手な種など特徴が様々です。
植物の特徴に合わせてレイアウトを考えるのは、アクアリウムと一緒です。
植物中心のパルダリウムで植物が育成できないと殺風景なデザインとなること、そして何より楽しみを味わえません。
植物の好む環境作りを優先したレイアウトデザインを心がけていきましょう。
パルダリウム水槽のレイアウト事例
過去に制作したパルダリウムから、今現在管理しているパルダリウムをピックアップしご紹介いたします。
水槽素材で販売している、枝流木で有名なスマトラウッドから、朽木状のスラウェシウッドを中心にレイアウトしています。
また、湿度を保つためにミストの発生装置をうまく隠しているのもポイントです。
植物の選び方と育成方法
パルダリウム用の植物としておすすめなのは、ブセファランドラやベゴニア、熱帯雨林に生息するシダ植物です。
先ほどのパルダリウムレイアウト事例でも数多く使用していますが、このような熱帯植物に苔をミックスしてレイアウトを構成することで、自然感あふれるパルダリウムを制作することができます。
植物の育成と管理
パルダリウムの植物育成は、種類にもよりますが比較的簡単です。
なぜ、簡単かと言いますと、パルダリウム専用の水槽仕様にその秘密が隠されています。
今まで、アクアテラリウムなどでコケや観葉植物を育てたことがありますが、うまく育つ時と残念ながら育たない時がありました。
なぜ、このようなムラが出たかといますと、植物はその部屋の湿度によってうまく育てられるか否かが大きく変わるからです。
エアコンを使って室内を空調管理をすることが多い昨今では、エアコン作動による乾燥が原因で植物が乾燥に負けて弱ってしまうケースが多かったのです。
つまり、その乾燥問題を解決したのが、パルダリウム水槽の功績とも言えるかもしれません。
植物上手に管理する上で最も大切な湿度調整を、水槽の上部までガラスで覆われいる、開閉扉が付いているパルダリウム水槽であれば、いとも簡単にやってくれます。
言葉にするとそんなことかと思うかもしれませんが、アクアテラリウムの植物管理で苦戦した私にとっては、非常に大きなメリットです。
以上のようにパルダリウム専用水槽を用意することがおすすめで、さらに私が今までやってきたなかでのコツとして、霧吹きを毎日かけること、ミスト発生装置を使って1時間おきに15分程度発生するようにすると、多くの熱帯植物が調子が良く維持管理できると感じています。
補足として、完全密閉して管理すると湿度が高すぎて調子を落としたり植物の形状が変化するといったデメリットもあります。
密閉されている水槽は、日中フタをずらして換気をし、植物の乾燥具合や調子を見ながら適切に管理をしていきましょう。
送風ファンを設置して管理するのも病気の抑制など有効とされていますが、ファンの勢いが強すぎて乾燥気味となり植物が衰弱することもあるので、送風ファンを設置する場合は乾燥しすぎないように注意をしましょう。
パルダリウムの導入予算について
ここまでパルダリウムの魅力を聞くと興味が湧いてきた方もいるはずです。
そうなると、次はパルダリウムを導入する場合の予算はどれくらいなのか。
最も手軽なのは、フタが付いた小型ボトルでパルダリウムを楽しむ方法で、照明も含めて15,000円程度あれば十分素敵なパルダリウムを作って楽しむことができます。
ボトルではなく、もう少し予算をかけても良いから本格的なものを求める場合は、50,000円程度の予算があれば、ファンやミストもついた30センチパルダリウム専用水槽を揃えることができます。
さらに大きいパルダリウム水槽を求める方へ。
120センチ程度の大型パルダリウムであれば、水槽や水槽資材も含めて10万円以上はかかります。
それでもろ過フィルターや強力な照明が必要なアクアリウムと比べて資材の予算は大きく抑えて始めることができるもの、パルダリウムの魅力と言えるでしょう。
大型のパルダリウムはとても迫力あり、まさに熱帯雨林へ足を忍び入れた雰囲気を楽しむことができます。
パルダリウムの制作、管理、オーダー水槽の依頼について
パルダリウム専用水槽が欲しい、または希望の設置場所へピッタリハマるようオーダーメイドで頼みたい方、市販のパルダリウム水槽をちょっとアレンジしたい方まで、パルダリウム水槽の購入を希望または検討されている方は、YouTubeアクアリウム大学でお馴染みのアクアレンタリウムへご相談くださいませ。
アクアリウム水槽もパルダリウム水槽もそうですが、オーダーメイド水槽を依頼する際は、必ず担当スタッフに飼育管理経験があるかどうか確認をするようにしましょう。
なぜなら、はじめてオーダーメイドで頼む際、設置後の運用部分における想像がうまくできず、加工ミスをしてしまう可能性もあります。
担当者に経験があれば未然に防げることもあります。
アクアレンタリウムでは、今までいくつもパルダリウムを制作し管理をしています。
東京都足立区の事務所にはパルダリウムが展示してありますので、もしご検討の方で実物を見たいという場合は、お気軽にご相談くださいませ。