海水魚水槽完全ガイド

海水魚のはじめ方、導入費用、飼育システム、機材の選び方、管理方法

海水魚飼育完全ガイド

カクレクマノミを筆頭とした青い南国の海のイメージとなる憧れの海水魚飼育は、アクアリウムのなかでも難しいと思われる方が多いかとおもいますが、正しい知識を持って水槽システムを構築、設置をし管理することができれば、海水魚飼育の難しいとされる部分をクリアすることができ、海水魚やサンゴが彩る美しいマリンアクアリウム水槽を堪能することができます。

現在の海水魚水槽の世界は、アクアリウムメーカーの技術革新により海水魚飼育セットや各飼育設備が充実しており、SNSを見ても多くの一般ユーザーが自宅で、マリンアクアリウムを楽しむ投稿も見ることができるようになりました。

ただ一方では、機材の多さにどれを選んだら良いか複雑でわからないといった悩みや、機材を揃えてもなかなか海水魚をうまく飼育できないといった苦労もあり、ご相談を受ける回数も増えております。

ということで、ここでは水槽管理のプロが自信を持っておすすめする実際に仕事で愛用している商品を中心に、これさえあれば海水魚飼育がうまくいきやすい商品、そして知識を、これから海水魚飼育を始める方、または海水魚飼育を管理しているけどなかなかうまくいかないという方へ向けて、徹底解説していきます。

海水魚やサンゴの世界に興味のある方は、ぜひじっくりとご覧くださいませ。

目次

海水魚水槽をはじめる前に

海水魚水槽の導入前に確認することを説明

海水魚水槽をはじめる前に、これだけは知っておくべきことを今からご説明いたします。
私は、アクアリウム業界で働いている身として、海水魚やサンゴを飼育して楽しむマリンアクアリウムを多くの方に楽しんでもらいたいのですが、決して簡単に海水魚飼育ができるとは言いません。

これまでに、海水魚飼育で悩み失敗している方からたくさんのご相談を受け、1つ1つ対応してきましたが、海水魚飼育を最も難しくしているところは、流通している多くの個体が天然採取であるため人工餌をなかなか食べないこと、そして入荷直後に調子を崩している個体もいることです。

塩分濃度や水温調整により調子が左右されること、さらに底砂を巻き上げてしまうと白点病が発症しやすくなるといったトラブルもありますが、いかに調子の良い個体を購入しお迎えできるかが、成功の鍵となります。

ここまで聞くと、海水魚水槽は初心者では出来ないのかと捉えてしまうと思いますが、私のお客様は初心者でも上手に海水魚を管理することができています。
その理由として、飼育をした海水魚やサンゴに適した飼育機材を選び、最初の設置をプロにしてもらうことで解決しています。

なぜ、最初の設置をプロにお願いするのかと言いますと、最初からバクテリアの付いた底砂、ろ過材、ライブロック、そして飼育水を使って立ち上げることで圧倒的に成功する確率が上がるからです。
ネットで得た知識を頼りに機材を選ぶだけでうまくいくなら、私のところへ海水魚飼育のご相談を受けることは少ないはずです。

機材を上手に選ぶことに加えて、経験を交えた水槽の設置、管理方法を行うことが海水魚水槽と上手に付き合う本当に秘訣となります。

海水魚飼育にかかる初期導入費用について

海水魚水槽の初期費用を説明

海水魚水槽の設置を検討する際に、初期費用も気になるところだと思います。
水槽サイズやシステム、飼育をしたい生き物によって前後しますが、カクレクマノミをペアで飼育してイソギンチャクも入れたいといった場合は、10〜15万円前後となります。

金額に幅があるのは、水槽用クーラーを含めるか否か、ろ過システムをオーバーフローシステムにするか、外部フィルターで運用するのかで大きく変わるからです。
室内のエアコンを24時間作動させて室温管理をし外部フィルターで運用する方法が、最も海水魚水槽の費用を抑えてはじめることができる方法です。

最近では30センチ程度の小型水槽やボトルで海水魚水槽をはじめる方もいますが、海水魚飼育を失敗リスクを減らしてはじめて挑戦するなら、最低でも45センチのキューブ水槽か、横幅60センチ水槽ではじめることをおすすめします。

海水魚を飼育する水槽を選ぶポイント

海水魚飼育のろ過システムを説明

海水魚を飼育する上で確実におすすめできる水槽サイズとシステムは、横幅が90センチ以上ある水槽で、ろ過能力の高いオーバーフローシステムです。
その理由は、水槽サイズが大きければ大きいほど水質や水温の変化が少なく管理がしやすいからです。

ろ過槽の容量面積が大きいオーバーフローシステムは、ろ過材の量を増やし水質を安定させやすい他、プロテインスキマーや殺菌灯などの水槽機材をスマートに組み込みやすいことが特徴です。
日々の水槽管理でろ過材を洗うことなく年単位で管理することもできるため、初心者にも簡単&安心なシステムとなっております。

さらに、海水魚水槽特有の水槽機材を剪定する場合も、オーバーフローシステムはおすすめです。
その理由として、プロテインスキマーやカルシウムリアクターは、ろ過槽へ設置できない場合に機材が限定されてしまったり丸見えとなることでインテリアとしても見た目がマイナスイメージとなるものです。

ただ、そんなオーバーフローシステムは特殊な塩ビ管と呼ばれる水道管を使用し組み上げるため、専門的な配管作業が必要です。
マリンアクアリウム初心者がいきなりやろうとして失敗してしまうと、思わぬ水漏れトラブルに繋がることもありますので、不安な場合はプロの水槽設置専門業者へ相談することをおすすめします。

海水魚を販売している専門店や、水槽のレンタルやメンテナンス、販売設置を専門とするアクアレンタリウムがおすすめです。

では、オーバーフローシステムは実際にどんなシステムなのか、はじめてマリンアクアリウムにチャレンジする方にも分かりやすいように、掘り下げて解説していきます。

海水魚水槽のろ過システム1: オーバーフロー水槽

海水魚水槽のろ過システムについて説明

マリンアクアリウムを楽しむ上で、最もおすすめなオーバーフローシステム。
ろ過面積が広く水質浄化能力が高いこと、水槽機材を足すなどオリジナル設計がしやすい。
入門種で人気の海水魚であるカクレクマノミだけでなく、あらゆる海水魚を飼育することにベストな設計です。

海水魚だけでなく、サンゴやイソギンチャクを飼育する上でもオーバーフローシステムは優秀です。
カルシウムリアクターやプロテインスキマーなど、無脊椎動物を育成する上で重要なマリンアクアリウム用機材を、豊富な種類から選び水槽台の中に収納することができるのも大きなポイントです。

最近では、レッドシー社のREEFERシリーズのようにオールインワンで配管も専用の接着剤などを使わず、誰でもねじ込むだけでセットできるマリンアクアリウム用水槽セットも登場し、オーバーフローシステムの導入敷居も下がりつつあり良い傾向です。

海水魚水槽のろ過システム2: 外部フィルター

海水魚水槽を外部フィルターで飼育する方法を説明

オーバーフローシステムまでは手が出せないけど、海水魚やサンゴ水槽を楽しみたいという方には、外部ろ過フィルターを使用したろ過システムがおすすめです。
オーバーフローシステムには劣りますが、外部ろ過システムはろ過能力も優秀です。

外部ろ過フィルターシステム最大の特徴は、オーバーフローシステムより静音性が優れている点です。
オーバーフローシステムは、水槽からろ過槽へ水が落水する際に落水音が響いたり、水槽循環ポンプの音が出ることもあり、設置環境や設置方法によっては音が気になることもありますが、外部フィルターは非常に静かで音は気になりません。

さらに、オーバーフローシステム同様、簡単に水槽クーラーや殺菌灯などの機材と接続できることもポイントです。
淡水魚水槽を管理していた方には馴染みのある商品となるため、配管ホースも抵抗なく設置しやすいはずです。

ただし、水槽内の溶存酸素量が低下し酸欠や油膜が発生しやすいといったデメリットがありますので、外部フィルターでマリンアクアリウムを運用する場合は、エアレーションかプロテインスキマーを設置するようにしましょう。
これだけで、外部フィルターでの海水魚飼育はグッと上手に管理することができるようになります。

淡水用の外掛け式フィルターのマリンアクアリウム版として、プロテインスキマーが内蔵された外掛け式プロテインスキマーを使えば、海水魚やサンゴを飼育することができます。

サンゴを中心に育成するなら、この外掛け式プロテインスキマーがあれば十分飼育が可能ですが、外部フィルターを併用することをおすすめします。
プロテインスキマーは、水質を浄化するのに向いていますがバクテリアを定着させるフィルターではありません。

海水魚を飼育する上で必要不可欠なバクテリアを定着させるためにも、ろ過フィルターを併用するようにしましょう。
また、サンゴを育成する上で水槽用クーラーを設置することがほぼ必須条件となりますが、外掛け式プロテインスキマーでは水槽用クーラーと接続することができないからです。

以上のことから、海水魚を育成する上では、外部フィルターにしっかりろ過材を詰めて運用していくことを中心とし、そこへプロテインスキマーを併用して、さらなる水質向上へ努めていくようにしましょう。

海水魚水槽に使用する機材の選び方

水槽サイズやろ過システムを決めたら、次は照明やクーラーなどの水槽機材を選定します。
ここでは、水槽業界で21年経験し培った知識をもとに、おすすめの海水魚水槽機材の選び方について解説していきます。

LED照明

海水魚水槽の照明について説明

海水魚でもサンゴでも、照明で水槽を明るく照らすことは生体の健康をキープする上でも非常に重要です。
照明点灯時間の目安ですが、1日8~10時間程度点灯させましょう。

マリンアクアリウムの照明選びのポイントですが、水槽で何を飼育するかで選定方法が変わります。

予算的をできるだけ抑えたい、海水魚飼育が中心で、LPSやソフトコーラルのような比較的簡単なサンゴを育てていきたい場合は、ゼンスイ社のシャイニングブルーやマルチカラーLEDがあれば飼育することが可能です。


サンゴは、ソフトコーラルとハードコーラルの2種類に大きく分けることができます。
ソフトコーラルに関しては、ウミキノコや好日性トサカ類、スターポリプやディスクコーラルなどがメジャーですが、このあたりはゼンスイ社のシャイニングブルーやマルチカラーLEDでも十分育成させることができます。

ハードコーラルの一部でより光を必要とするミドリイシやSPSと呼ばれる種類には、フルスペクトルと呼ばれる高性能な波長を意識してサンゴを美しく育てやすい照明か、大手海水魚メーカーレッドシーから販売されているブルー色の強いリーフLEDがおすすめです。


近年では、光は最低限に抑えつつ添加剤やサンゴへ給餌をすることで上手に育てるテクニックも注目を集めております。

冷却クーラー

海水魚飼育におすすめのクーラーを説明

昨今の夏場の暑さを乗り越えてマリンアクアリウムを楽しむ上で、今や必須となっている水槽用クーラー。

予算が許すなら水槽用クーラーを導入することを強くおすすめします。
イソギンチャクやサンゴは28度以上の高水温となれば、共生している褐虫藻が排出されてしまい弱ってしまうため、無脊椎動物を飼育する上では、ぜひ水槽用クーラーを導入しましょう。

外部ろ過器や水槽用クーラーを水槽台内に収納する際は、水槽機材のスペースを確保することはもちろん、水槽用クーラーの換気を考慮し設置しましょう。

最近では、アクアリウム水槽をインテリアの一環として水槽機材をできるだけ水槽台の中へ収納する方が増えてきております。
水槽用クーラーは吸気と排気をしっかり設けて水槽台内を換気しなければ、クーラーから排熱される熱風がこもってしまい、すぐにクーラーが故障してしまいます。

上記理由から、水槽用クーラーメーカーは水槽台の中へクーラーを収納することに否定的です。
弊社でも数々の場所へ水槽台の中にクーラーを導入してきましたが、やはり水槽台の外に出しているクーラーは壊れにくいと実感しておりますが、思考錯誤を繰り返し、今では水槽台の中にクーラーを導入してもしっかり換気できる水槽台の特殊加工方法を身につけております。

水槽台から販売、設置をご希望の際は、お気軽にアクアレンタリウムまでご相談くださいませ。
お部屋のインテリアに合わせた色や木材から鉄骨まで幅広く対応可能です。

水槽用クーラーも様々なメーカーから販売されていますが、弊社のおすすめはゼンスイ株式会社の水槽用クーラーです。
理由は、アフターフォローサービスが非常に良くその上価格もリーズナブルです。
ゼンスイ株式会社様のHPにクーラー選定計算式がありますので、それを利用して必要なクーラーをお探しください。

プロテインスキマー

プロテインスキマーを説明

マリンアクアリウムを楽しむ上で、プロテインスキマーの存在を知っておくことは重要です。
できれば、プロテインスキマーはマリンアクアリウムをやる上で導入すべき最高の機材です。
プロテインスキマーのメリットは、下記の通りです。

  • 水の汚れを泡の力で濾し取り透明度を上げる
  • 溶存酸素量を高める
  • 水質の向上

海水には様々な物質が含まれていますが、キメ細かい微細な泡により不純物や細菌を濾し取ります。
通常ろ過システムでは、魚の排泄物や食べ残しをバクテリアの力で、アンモニアから亜硝酸そして硝酸塩へと分解しますが、プロテインスキマーは、バクテリアが分解する前に除去することができます。

硝酸塩はミドリイシなどの水質に敏感なサンゴは成長阻害や白化などのダメージを受けてしまうことがありますので、ミドリイシなどのSPSには必須、海水魚やその他LPSやイソギンチャク、ソフトコーラル飼育には設置を推奨します。

最近では優秀なプロテインスキマーが数多く出てきてますが、はじめてプロテインスキマーを導入する方は、取り回しがしやすく清掃が簡単なH&Sのプロテインスキマーか、泡が細かい最先端のリファースキマーがおすすめです。

殺菌灯

海水魚飼育の殺菌灯を説明

殺菌灯については、チョウチョウウオ類やヤッコ類などの病気に罹りやすいなど少々気難しい海水魚を飼育する場合は設置を検討しましょう。
ただし経験上、殺菌灯については病気を抑える効果がなかなか分かりにくい商品です。
アオコや、水の黄ばみを抑制する目的なら効果を実感できますが、白点病が発生し病気を打ち消すために設置を検討することはナンセンスですし、そもそも病原菌をすべてシャットアウトできる商品ではありません。

殺菌灯を上手に活用する方法として、現在発生している病気を消すのではなく、予防として設置することをおすすめします。
このことから、海水魚を水槽で泳がす前に殺菌灯を設置して万全な状態を整えてから迎えるようにしましょう。

水槽や水槽機材によって、どの殺菌灯が良いか迷う方もいるかとおもいます。
カミハタ社のターボツイスト、ナプコリミテッドのQLシリーズから東熱殺菌灯まで幅広くありますが、はじめて殺菌灯を使う方で配管接続に自信の自信の無い方は、ターボツイストかゼンスイ社のUVバズーカがおすすめです。

水槽水量に合わせて殺菌灯のサイズを選定したら、殺菌灯へ通水するポンプを決めましょう。
殺菌灯は、使用方法に記載された適正流量を守らなければ正しい効果を発揮することができません。
必ず適正流量も確認するようにしましょう。

ドーシングポンプ

ドーシングポンプを説明

サンゴ飼育に必要な、カルシウムやマグネシウムなどの微量元素を自動補給する装置を、ドーシングポンプと呼びます。

従来までは、人の手で日々添加をしていましたが、その手間を無くし定期的に補給されることで、水槽内の微量元素の量を一定にしよりサンゴが健全に成長、色揚げをすることに特化した、サンゴ飼育のエキスパート向きの商品です。

機材の設置方法などは説明書を見れば設置できる商品も多いのですが、水槽を購入し設置を業者にお願いするなら、ドーシングポンプもセットでお願いすると良いでしょう。

自動給水システム

自動給水システムを説明

海水魚水槽は、水が蒸発すると塩分だけが水槽内に残るため塩分濃度が高くなります。

塩分濃度が高くなると海水魚の餌喰いが悪くなったり、サンゴの開きや色が悪くなることがありますので、水足しや水換えを定期的にするのが難しい場合は、自動給水システムを導入することをおすすめします。

水槽のシステムにもよりますが、蒸発が激しいフタの無い水槽で3日程度外出するのも怖かった場合でも、解決できる可能性は非常に高くなります。

もし、出張やが家を空けることが多い場合は、自動給水システムの導入も検討してみましょう。

海水魚飼育に必要な資材について

海水魚飼育に必要な資材を説明

水槽の機材を選んだら、いよいよ水槽内の資材を選んでいきます。
底砂やろ過材、ライブロックと呼ばれるレイアウトにも使用する、海水魚水槽における重要アイテムを紹介していきます。

底砂

マリンアクアリウムのサンゴ砂を説明

マリンアクアリウムで最もおすすめな底床は、カリブシーから出ているアラゴナイトサンドか、レッドシーのライブリーフベースです。

完全なパウダーと呼ばれる目の細かい砂より、ワンランク、ツーランク粒の大きいサンゴ砂をおすすめします。
目の細かいパウダー状のサンゴ砂は、海水魚が水槽内で激しく動き舞ってしまうと白点病を発症させてしまうリスクが伴いますので、おすすめしません。

カリブシーのアラゴナイトサンドには色々な種類がありますが、バクテリアが付いたサンゴ砂がおすすめです。

なお、景観をあまり気にしない、とにかく生体やサンゴの病気発症リスクを抑えたい方には、砂を敷かないベアタンクがとてもおすすめです。清掃も楽ですし、病気の発症リスクを減らすことができるメリットは非常に大きい点です。
アクアレンタリウムでは、海水魚のストック管理水槽はベアタンクを採用しております。

ろ過材

マリンアクアリウムのサンゴ濾過材を説明

ろ過材は、安価で目詰まりの少ない棒状のLLサイズのサンゴ砂をおすすめします。
セラミックろ過材なども流行っていますが、個人的には高価なのでサンゴろ過材で十分です。
海水魚飼育においてのサンゴろ過材は、バクテリアの定着だけでなくpH低下を緩和する目的においても非常におすすめです。

ただ、予算が許すならバイコムバフィーは非常に良いろ過材です。
バクテリアの定着力が圧倒的に高く安定しやすくなり、ドライろ過からウェットろ過まで幅広く活用可能です。
pH低下をしてきた場合は、牡蠣殻を使うこともおすすめします。

ライブロック

ライブロックを説明

マリンアクアリウムの世界では、水槽レイアウトに使用するレイアウト素材に魔法の岩と呼ばれるライブロックを使います。
ライブロックとは、その名の通り生きた岩です。

自然界で死んでしまったサンゴに長い年月をかけてゴカイなどの微生物が住み着き、微細な穴を無数に開けます。
その穴の中に新鮮な海水が出たり入ったりすることで、バクテリアが増殖しまさに水を綺麗にする生きた岩が誕生するのです。


良質なライブロックを導入できれば、自然界の豊富なバクテリアを水槽に運び入れることができるため、水槽内の生物相が豊富となりより水槽が安定するため、水槽内にバクテリアを定着させやすく素早い立ち上げ効果を発揮します。

良質なライブロックの特徴として、軽いこと、異臭がしないこと、石灰藻が豊富に付着しているといった特徴があります。

ただし、新鮮なライブロックで無い微細な穴に死んでしまった微生物がいることで水質が悪化してしまうこともあるので注意が必要です。
ライブロックを購入する際は、マリンアクアリウム専門店で購入することをおすすめします。

また、最近では、ライブロックの入手が困難になってきていることもあり、擬岩を使うこともあります。
擬岩を使う場合、商品の質は安定していますがバクテリアが付着していないため、バクテリアが付着したライブサンドを使うか、バクテリア剤を使うようにしましょう。

擬岩に関しては、バクテリアなどの生物導入の期待はできませんが、水槽にとって有害な生物やコケ類を持ち込ませないといったメリットがあり、どちらも一長一短といったところです。


好みによりますが、良質なライブロックが手に入るなら天然ライブロックを使う、良質なライブロックと巡り会えない、選び方が分からない、予算的に難しい方は擬岩を導入することをおすすめします。

人工海水

海水魚用の人工海水を説明

おすすめはレッドシーから販売されている、コーラルプロソルトです。
数ある人工海水のなかでも、高価な塩ですが栄養価が自然界の値より高くブレンド設定されているので、サンゴに必要な栄養が水中から消失されにくいことが最大のメリットと言えます。

ただ、海水魚のみ飼育する場合や、ソフトコーラルを少数だけ飼育する場合は、インスタントオーシャンやシーライフといった安価な塩がおすすめです。

人工海水に含まれる栄養を沢山吸収するサンゴは、ミドリイシやハードコーラルと呼ばれるサンゴです。

サンゴの数が少ないのであれば、わざわざ栄養豊富な高価格帯の人工海水を使う必要は無いでしょう。

なお、サンゴを数多く飼育したいが人工海水にかかる金額を抑えたい場合は、インスタントオーシャンやシーライフを使いながら、添加剤やカルシウムリアクターを使う方法があります。

ただ、添加剤やカルシウムリアクターに関しては、定期的にpHやKH、マグネシウムなどの値を計測して添加量を調整する必要がありますので、少し管理が複雑になります。

このように、どのようなやり方にもメリット、デメリットはありますが、はじめて海水魚飼育をするなら、シンプルな人工海水の栄養を使い管理する方法が私はおすすめです。

海水魚水槽の管理方法について

海水魚水槽の管理方法を説明

海水魚水槽における日々の管理は、コケ取り、水換え、機器洗浄・点検、給餌です。
熱帯魚はもちろん、金魚やメダカと管理する方法に大きな違いはありません。

海水魚飼育で最も他のアクアリウム管理と違うところは、人工海水を使うか使わないかでしょう。
最近では一般家庭の水道から出てくる水に、市販の海水魚飼育専用の人工海水を適量溶かすことで、誰でも簡単に自然の海と同等の塩分濃度で海水を作ることができます。

はじめてマリンアクアリウムにチャレンジする方にとって難しそうと思われるところは、飼育方法がいまいちよく分からないといったところではないでしょうか。
確かに、海水魚の飼育方法については経験が必要です。

ここからは、マリンアクアリウムの水換えポイントなどやさしく解説していきますが、もしどうしてもよくわからないなどご不安な方は、お気軽に海水魚水槽レンタル、メンテナンスのアクアレンタリウムへご相談くださいませ。


1回からの海水魚水槽やサンゴ水槽の出張メンテナンスから、アクアレンタリウムが約20年業界で経験し培ったノウハウが凝縮された、オリジナル海水魚、サンゴ水槽セットの販売、設置そして管理まで、お客様のご要望に合わせて対応いたします。

お見積りは無料で全国対応いたします。
お気軽に、ご相談くださいませ。

海水魚飼育の水換えポイント

海水魚飼育の水換えポイントを説明

海水魚の水換えポイントは、1、2週間に1度4分の1程度換水してください。
60センチ水槽で水量60リットル程度の海水魚水槽なら、15リットル程度で十分です。

そして、3カ月~6カ月に1度、水槽の5割程度換水しましょう。
定期的に換水しても、じつは水槽内の環境はどんどん悪化していくので、大幅な換水を不定期でやることも非常に重要なのです。
そうすることで、水槽内がリフレッシュされ水質の経年劣化を防ぐことができます。

海水魚の量が多い、サンゴも飼育している、餌をたくさん与えているといった場合は、pHの低下や硝酸塩が蓄積しているといった、いつの間にか訪れる水質悪化問題へ直面しているケースがあります。
水質を検査し状況が思わしくない場合は、水換え頻度を上げるようにしましょう。

水換えをあまりしたくない、できるだけ手間を減らしたいと考える方は、機材を充実させたりすることで解消できるポイントもありますが、はじめてマリンアクアリウムをやる際は、水換えをすることでどんな変化が生まれるのかを経験として身につけることも重要ではないかと私は考えております。
水換えの時はコケ取りやウールマット交換、プロテインスキマー洗浄なども併せて実施しましょう。

海水魚へ餌を与えるポイント

海水魚の給餌は1日1回または2回与えるようにしましょう。
餌の種類ですが、粗タンパク質が50パーセント以上の餌を与えることをおすすめです。
粗タンパク質が高い餌を中心に複数のメーカーの餌を混ぜて与えることで、海水魚の栄養バランスを確保し健康管理しやすくなります。

餌の種類で言いますと、メガバイトのグリーン・レッドやシュアー、オメガワンなどがおすすめです。
また、ハギ系の魚は非常に痩せやすいため、痩せてきたら給餌量を細かく複数回に分けて与えると良いです。
人工餌なら、キョーリン社の海藻70と呼ばれるおすすめフードもありますので、ハギ系は混ぜて与えることをおすすめします。

海水魚水槽の塩分濃度について

海水魚水槽やサンゴ水槽を管理する上で、比重を正しく管理し続けることはマストです。
はじめてでもベテランの方でも、海水魚やサンゴ飼育をする上では、簡易比重計ではなくアタゴ社のデジタル比重計をおすすめします。

簡易比重計でも定期的に交換すればマリンアクアリウムを管理することができますが、いつ壊れるか心配しながらマリンアクアリウムをするより、導入コストはかかりますがはじめからデジタル比重計の使用をおすすめします。

海水水槽の基本である比重について、比重を守るなんて初歩的な話でしょとおもわれがちですが、比重を適正値で管理し続けることは意外にも難しいものです。
ハイレベルのサンゴや魚を管理しているベテランアクアリストで、サンゴの調子が今一つで悩み原因がまったく分からないといったケースを探ると、じつは比重が狂っていたというのは珍しい話ではありません。

海水魚水槽における比重とは

海水魚の比重計測を説明

比重と塩分濃度は同じと認識されている方もいるかと思いますが、正確に言えば比重と塩分濃度は異なるものです。

海水水槽における比重とは、水槽の水に溶け込んでいる成分量を指します。
カルシウムやマグネシウム、ストロンチウムなどの塩分以外のすべて成分が含まれるのです。
つまり、比重が低いということは、カルシウムやマグネシウムなどの成分も低いことになり、魚やサンゴが調子を崩すこととなります。

また、比重は水温によって変化するのをご存じでしょうか。水温が低いと比重は高くなり、水温が高くなるにつれ比重は下がります。
この理屈を頭の片隅で覚えておき、水換えをする場合は水換えする水槽と同じ水温で人工海水を溶かして作るようにしましょう。

それに対し塩分濃度は、1キロの水にどのくらい塩が溶け込んでいるかを、パーミル(‰)という値で表します。
天然海水の塩分濃度は、約30~35‰と言われています。
これを人工海水に換算すると、1ℓに対し30~35gの塩を融解させれば理論上自然界と同じ塩分濃度ができるということになります。

海水魚飼育に最適な比重とは

海水魚を中心として飼育する場合、特別な理由が無いなら比重は1,023を目安に設定します。
比重を平均値のなかでもやや下げ気味にすることで、水槽内の溶存酸素量が上がり好気性バクテリアも活性化します。

経験上、比重を1.022以下まで落としてしまうと海水魚の体色が薄くなったり、エビやギンポ類は衰弱しやすく、高くなりすぎるのも要注意で、1,027以上となると餌を食べても痩せるなどと言った症状が顕著にでるため要注意です。

低比重治療といって、比重を下げて白点病を治療する方法も民間療法でありますが、あまりおすすめしません。
低比重治療で白点治療をしても期待している効果はあまり得られないと感じています。

サンゴ水槽に最適な比重とは

サンゴ飼育を中心とする場合は、1,025~1,026と海水魚中心の水槽と比較しやや高めに設定してみましょう。
弊社の経験上、海水魚やサンゴが健全に成長でき、かつ管理がしやすい値です。

比重が高いとカルシウムなどのサンゴが育成に必要な成分が多くなるため、できるだけ高く維持するべきだと考えています。
一説には、サンゴが健全に育っている自然界の比重は1.027程度あるそうですが、飼育下では水槽の水が蒸発し塩分だけ水槽に残り簡単に比重が高くなることから、水槽内で1,027をキープし続けるのは難しいです。

このことから、1,026をキープすることが成功の肝と言えるでしょう。

元気な海水魚を選ぶおすすめポイント

元気な海水魚を選ぶポイントを説明

海水魚飼育経験22年の筆者が考える、海水魚飼育が難しいと言われる理由。
それは、多くの海水魚がワイルド個体(天然)ということです。
金魚や熱帯魚の多くは養殖個体ですが、海水魚の多くは天然個体なのです。

以上の事を踏まえて、海水魚飼育にはじめてチャレンジする方でも上手に海水魚を選べるポイントを紹介いたします。

  • お店に入荷してから2週間程度経過している個体
  • 人工餌を食べている個体
  • 購入希望個体だけでなく管理水槽で病気を発症していないこと

この点を注意して購入すれば、最低限のハードルはクリアです。
海水魚を導入する準備が整ったら、3ヵ月程度時間をかけて希望の海水魚を全部入れられるようにスケジュールを組み、1〜2週間に1度のペースで徐々に追加していき完成を目指しましょう。

一気に水槽へ海水魚を多く投入すると、水質を浄化するバクテリアの能力が追いつかず水質悪化を引き起こし衰弱する

海水魚の導入でお悩みならプロへ相談しましょう

海水魚飼育の相談ならアクアレンタリウムへ

はじめて海水魚水槽管理を楽しみたいと検討されている方から、今まさに海水魚水槽管理で悩んでいる方へ向けて、マリンアクアリウムの解説をさせていただきました。
この仕事を始めた時は、周りの上司も含め海水魚飼育の経験が非常に浅く手探りで覚えていきました。
今でこそ、メーカーの尽力もあり海水魚の飼育用品が豊富に取り揃い、簡単に飼育できるようになってきてましたが、それでも管理者の技術力は海水魚需要の高まりにより増してきています。

2021年から急速にアクアレンタリウムでは、マリンアクアリウムの水槽レンタル・メンテナンスサービスだけでなく、海水魚水槽やサンゴ水槽といったマリンアクアリウムの販売から設置、管理に至るまで数多くの法人様、個人様からご注文をいただいております。

また、現在海水魚飼育をしているが、海水魚水槽セット一式をお店で購入したが失敗ばかりしていてどうしたら良いか分からない。
海水魚飼育やサンゴ飼育ができるよう、マリンアクアリウムの水槽管理方法から海水魚飼育機材の見直しをしてほしいというご依頼も多数頂戴し改善作業をするため全国飛び回って対応しております。

数多くの方に、海水魚水槽の魅力、そして熱帯魚水槽の魅力が伝わるよう引き続き努力してまいります。
これから海水魚を飼育する、または今悩んでいる方への参考記事となれば幸いです。

海水魚水槽やサンゴ水槽に興味はあるけど、まだ1歩が踏み出せない方はアクアレンタリウムへご相談ください。
水槽の販売、設置だけでなく、定期定期な管理からスポットでの水槽清掃、機材点検からリセット作業まで、マリンアクアリウムに関するすべての業務を承っております。

どこの海水魚、サンゴ専門店に行っても解消されなかった悩みが、アクアレンタリウムが対応することであっという間に払拭されるかもしれません。

まずは、お気軽にご相談くださいませ。

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